2014年02月07日
製糖シーズン到来!
奄美大島の特産物の黒糖。製糖の期間は早いところで12月中旬から始まり、
春先の4月頃まで行われています。
黒糖は暖かい季節に太陽の光をいっぱい浴びて育ったウギ
(※島の言葉でサトウキビを「ウギ」といいます。)から作られ、
寒い季節に製糖するのが一般的です。
加計呂麻島には現在製糖工場が3軒あるのですが、今回は野見山で行われている1件の製糖工場で黒糖ができるまでの工程をレポートさせていただきました。
昨シーズンから私も冬場のアルバイトで大変お世話になっている製糖工場なので
仕事をしながらの実体験のレポートになります。
製糖の始まりはウギ刈りから始まります。これがまた難儀な仕事です。
ウギはタケノコのように表皮で覆われているので、根元から倒されたウギの皮を
鎌を使ってむいていきます。この日のウギ刈りの場所は徳浜。
上の写真でもなんとなくわかるように、根元から倒されたウギが
ある程度の量で一山ずつ置かれていきます。
これを一山ずつむしり手(表皮を鎌ではがす人)が手作業でむしっていきます。
使う道具はちょっと変わった形の鎌。
昔は普通の一本歯の鎌でむしっていたようですが、
時代と共に道具は進化して、先の二股に分かれている所に
ウギを挟んで皮をむいていきます。
刃先や根元の根っこを切る時は中央の歯の部分を使います。
まさに便利な道具ですね。
ウギの頭の部分は、このように葉がついているのでむしる時に切り落とします。
葉を切り落として皮をむいた状態はこんな感じ。
むしったウギはこのように一束にまとめ、運びやすいように
紐でくくっておきます。
後程運ぶ人の事を考えて、あまり重くならない程度の量が目安です。
これくらいの一束でもかなり重たいと思うのですが、
運ぶのも難儀な力仕事です。
だいたいウギ刈りは2~3日程度。製糖する量の分だけ刈り取られます。
このようにまとめられたウギはユニックでトラックに積まれ、
野見山の製糖工場まで運ばれていきます。
さて、ウギを製糖工場に下していよいよ製糖の段階に入っていきます。
こちらの製糖工場では不定期の日曜日に製糖が行われています。
工場の外から搾り機にウギが入れられ、甘い搾り汁を採集します。
搾った汁と絞りかすは別々に。
絞りカスは窯で火を炊く際に使われたり、
置いて後程肥料などの農業用に使われます。
ウギの汁を窯で炊いていきます。
製糖工場によって作り方に違いはあるのでしょうが、ここでは窯が3つに分かれ
煮立てていきます。灰汁が出てくるので丁寧に灰汁取り作業が行われます。
この段階で石灰が入り、黒糖の硬さなどを調節していくそうです。
2番目中央の窯。
この時の窯の蒸気はミネラルがたくさん含まれていてお肌にも良いそうです!
いちばん最後の3番目の窯。
ここでは水分を十分にとばしていきます。
飴状の蜜のような感じに変わって黒糖蜜になります。
窯の次は撹拌機へ。
300℃以上の暑い黒糖蜜を素早く撹拌機に投入。
固まらないように撹拌機で回しながら、黒糖を冷ましていきます。
撹拌機でまんべんなく混ぜられた黒糖は、少し熱が取れた状態で場所を移され
切る工程に入っていきます。
まだ素手で触るとかなり熱い状態なのですが、
熱いうちに木のへらで伸ばしていきます。
冷めてしまうと固まってしまうので、ここでも手早く作業が行われます。
切る時はステンレスのへらを使います。
切られた黒糖は粗熱を取り箱に詰められます。
通常販売される黒糖は、この後手作業で測り袋詰めされて出来上がりです。
撹拌機で冷めるまで混ぜて「サタ」と呼ばれる黒糖の粉末も作れます。
袋づめされた加計呂麻生まれの「がんみつ黒糖」です。
100%さとうきび。全ての作業工程が手作業。
通常の黒糖より白っぽいのですが、これは灰汁取りを丁寧に行っているからです。
味もエグみがなく、純粋な蜜の味。
オーナーのこだわりで、自分の育てたウギ以外は一切使ってないので
生産量も限られているので、まさに幻的な黒糖です。
奄美ではお茶を飲みながら、黒糖をつまむ習慣がありますが
本当に食べると止まらない美味しさなので癖になります。
追加おまけ写真ですが、
撹拌機に移す前の飴状の黒糖蜜を割り箸につけてもらいました。
水あめのように伸びてしかもアツアツ。
製糖工場でしか食べられない裏メニューとも言えるでしょう(笑)
島の人が子供の頃は割り箸を持って製糖工場に遊びに行き
おやつに蜜糖をおねだり目当てに遊びに行ったそうです。
黒糖はお茶受けとして食べるだけでなく、島料理や黒糖焼酎に欠かさない
食材の一つ。
昔はウギを育てる一般家庭が多かったようで、
私の住む諸数も盛んだったと言います。
隣近所の婆ちゃんに私がウギ仕事に行く話をすると
「あんたもウギしてるの?難儀な仕事感心ね~若い頃を思い出す。」と
喜んでくれるのが何だかちょっぴり嬉しく誇らしく思います。
今はこうして島の産業的に繋がれていると思うのですが、
どんな形としても、このような島の伝統や文化である
島の個性は受け継いで、後世に残していきたいものです。
長くなりましたがレポートは以上です。
まだ製糖シーズンは始まったばかりなので、
これから美味しいできたての新糖を、
皆さんもぜひお試しください。
加計呂麻島、諸数在住
須崎 まさこ
春先の4月頃まで行われています。
黒糖は暖かい季節に太陽の光をいっぱい浴びて育ったウギ
(※島の言葉でサトウキビを「ウギ」といいます。)から作られ、
寒い季節に製糖するのが一般的です。
加計呂麻島には現在製糖工場が3軒あるのですが、今回は野見山で行われている1件の製糖工場で黒糖ができるまでの工程をレポートさせていただきました。
昨シーズンから私も冬場のアルバイトで大変お世話になっている製糖工場なので
仕事をしながらの実体験のレポートになります。
製糖の始まりはウギ刈りから始まります。これがまた難儀な仕事です。
ウギはタケノコのように表皮で覆われているので、根元から倒されたウギの皮を
鎌を使ってむいていきます。この日のウギ刈りの場所は徳浜。
上の写真でもなんとなくわかるように、根元から倒されたウギが
ある程度の量で一山ずつ置かれていきます。
これを一山ずつむしり手(表皮を鎌ではがす人)が手作業でむしっていきます。
使う道具はちょっと変わった形の鎌。
昔は普通の一本歯の鎌でむしっていたようですが、
時代と共に道具は進化して、先の二股に分かれている所に
ウギを挟んで皮をむいていきます。
刃先や根元の根っこを切る時は中央の歯の部分を使います。
まさに便利な道具ですね。
ウギの頭の部分は、このように葉がついているのでむしる時に切り落とします。
葉を切り落として皮をむいた状態はこんな感じ。
むしったウギはこのように一束にまとめ、運びやすいように
紐でくくっておきます。
後程運ぶ人の事を考えて、あまり重くならない程度の量が目安です。
これくらいの一束でもかなり重たいと思うのですが、
運ぶのも難儀な力仕事です。
だいたいウギ刈りは2~3日程度。製糖する量の分だけ刈り取られます。
このようにまとめられたウギはユニックでトラックに積まれ、
野見山の製糖工場まで運ばれていきます。
さて、ウギを製糖工場に下していよいよ製糖の段階に入っていきます。
こちらの製糖工場では不定期の日曜日に製糖が行われています。
工場の外から搾り機にウギが入れられ、甘い搾り汁を採集します。
搾った汁と絞りかすは別々に。
絞りカスは窯で火を炊く際に使われたり、
置いて後程肥料などの農業用に使われます。
ウギの汁を窯で炊いていきます。
製糖工場によって作り方に違いはあるのでしょうが、ここでは窯が3つに分かれ
煮立てていきます。灰汁が出てくるので丁寧に灰汁取り作業が行われます。
この段階で石灰が入り、黒糖の硬さなどを調節していくそうです。
2番目中央の窯。
この時の窯の蒸気はミネラルがたくさん含まれていてお肌にも良いそうです!
いちばん最後の3番目の窯。
ここでは水分を十分にとばしていきます。
飴状の蜜のような感じに変わって黒糖蜜になります。
窯の次は撹拌機へ。
300℃以上の暑い黒糖蜜を素早く撹拌機に投入。
固まらないように撹拌機で回しながら、黒糖を冷ましていきます。
撹拌機でまんべんなく混ぜられた黒糖は、少し熱が取れた状態で場所を移され
切る工程に入っていきます。
まだ素手で触るとかなり熱い状態なのですが、
熱いうちに木のへらで伸ばしていきます。
冷めてしまうと固まってしまうので、ここでも手早く作業が行われます。
切る時はステンレスのへらを使います。
切られた黒糖は粗熱を取り箱に詰められます。
通常販売される黒糖は、この後手作業で測り袋詰めされて出来上がりです。
撹拌機で冷めるまで混ぜて「サタ」と呼ばれる黒糖の粉末も作れます。
袋づめされた加計呂麻生まれの「がんみつ黒糖」です。
100%さとうきび。全ての作業工程が手作業。
通常の黒糖より白っぽいのですが、これは灰汁取りを丁寧に行っているからです。
味もエグみがなく、純粋な蜜の味。
オーナーのこだわりで、自分の育てたウギ以外は一切使ってないので
生産量も限られているので、まさに幻的な黒糖です。
奄美ではお茶を飲みながら、黒糖をつまむ習慣がありますが
本当に食べると止まらない美味しさなので癖になります。
追加おまけ写真ですが、
撹拌機に移す前の飴状の黒糖蜜を割り箸につけてもらいました。
水あめのように伸びてしかもアツアツ。
製糖工場でしか食べられない裏メニューとも言えるでしょう(笑)
島の人が子供の頃は割り箸を持って製糖工場に遊びに行き
おやつに蜜糖をおねだり目当てに遊びに行ったそうです。
黒糖はお茶受けとして食べるだけでなく、島料理や黒糖焼酎に欠かさない
食材の一つ。
昔はウギを育てる一般家庭が多かったようで、
私の住む諸数も盛んだったと言います。
隣近所の婆ちゃんに私がウギ仕事に行く話をすると
「あんたもウギしてるの?難儀な仕事感心ね~若い頃を思い出す。」と
喜んでくれるのが何だかちょっぴり嬉しく誇らしく思います。
今はこうして島の産業的に繋がれていると思うのですが、
どんな形としても、このような島の伝統や文化である
島の個性は受け継いで、後世に残していきたいものです。
長くなりましたがレポートは以上です。
まだ製糖シーズンは始まったばかりなので、
これから美味しいできたての新糖を、
皆さんもぜひお試しください。
加計呂麻島、諸数在住
須崎 まさこ
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