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2014年10月25日

埋蔵文化財調査『実久集落』

平成26年10月2日(木)、埋蔵文化財調査で、
加計呂麻島の最西端『実久集落』へ向いました。


豊かな自然 実久ブルーの海 白い砂浜




この日は、クガツクンチ(旧暦九月九日)
実久三次郎神社大祭も開催されていました。

加計呂麻島といえば、“諸鈍シバヤ”ですが、
源氏と平家の伝説が残るこの加計呂麻島で、
同じ日にお祭りが開催されていることは、まだまだ知られていないことかもしれません。

加計呂麻島の
西(実久)では、源為朝の子『実久三次郎』が実久三次郎神社に、
東(諸鈍)では、『平資盛』が大屯神社に祀られています。


さらに、この実久集落は、戦争遺跡も多く残っている場所でもあります。
今回は、集落内の埋蔵文化財調査を行いました。


兵舎跡




貯水施設?
*実久戦跡調査は以前にも同行調査を行いました。記事は、コチラ
*構築された年代などは、『瀬戸内町の戦争遺跡について』で記しています。




埋蔵文化財調査では、とにかく下をみて歩きます。

集落内の畑や空き地には、すでに

新しい砂(土)が入っている土地もあります。
別の場所から土を持ってきている場合もあるので、このような場所で採集した遺物の判断は難しいそうです。




擂鉢(すりばち)のカケラ




今回、表面採集した遺物

土器(不明)、青磁(中国産)、褐釉陶器(中国産)、青花(中国産)、本土産陶器、沖縄産陶器、
本土産陶磁器、貝、ガラス
今回の埋蔵文化財調査によって実久集落では、少なくとも中世~近代の遺物を採集することができました。




≪実久集落 番外編≫

実久といえば、

珊瑚の石垣
ハカラメ(葉から芽)がとてもかわいいアクセントに。
場所場所で、石垣の積み方が違うのも面白かったですよ。




五右衛門風呂跡
(隊長が欲しいとつぶやいていました)
関連記事はこちら



一日(下ばかり見て)歩き疲れて、ふと海側をみると、デッキが!

実久には泳ぎに来るべきですね(涙)




シマ(集落)を歩いているといつもおもう。
「シマの美しい風景」

シマに暮らす人たちが、大事に手をかけているからこそだと感じます。
「シマを守る美しさ」

私たちがお邪魔するときは、ルールを守ってシマの風景を楽しみたいですね。


この日は、お祭りに来られていた方々からも、貴重なお話を聞くことができました。
シマ育ちではないけれど、島に帰って来たと思える雰囲気がこのシマの魅力
温かい空間にて調査をすることができました。
ありがとうございました。


2014.10.02
加計呂麻島実久集落
埋蔵文化財調査員 正智子  


2014年10月10日

『実久三次郎神社大祭』

平成26年10月2日(水)旧暦9月9日(クガツクンチ)

加計呂麻島実久集落にて、『実久三次郎神社大祭』が開催されました。
現在は、敬老会も兼ねた豊年祭としても行われています。




祭りは、この実久三次郎神社から始まります。

保元の乱で敗れ、伊豆大島に流された鎮西八郎為朝は、
伊豆大島から琉球列島に渡ったという伝説があります。
この神社は、この鎮西八郎為朝とシマの女性との間に生まれた実久三次郎を祀っています。






社殿で、ミキ開きの儀式が行われた後、訪れた人たちが順番に参拝をします。
参拝を終えると、社殿の横で、ミキとヒモン(干物)を頂きました。
やっぱり手作りのミキは美味しい!






神社境内には、仮の土俵が作られています。






ここでは、廻しをつけた男たちが、三番相撲をとります。






その後、神人役を先頭に実久三次郎の御霊(位牌)を捧げ持ち、ホラ貝を吹きながら神社をあとにします。






神人役が塩で道を祓いながら、カミミチを進んでいき、力士たちも行列をつくりあとに続きます。






公民館前の大きなガジュマルの木の下で、塩でお祓いをしながら3周まわり、
“ヨイヤ~ヨイヤ~ヨイヤ~”の掛け声で、土俵のある公民館広場へ入場していきます。






“振り出し”
子供たちも加わり、終始なごやかな雰囲気に包まれていました。

今回、神社から始まり、カミミチを通って行う儀式を、私自身初めて見ることができました。





♪ ここは、加計呂麻・祭りシマ~ ♫
*余興の歌・加計呂麻巡りより

ということで、
島唄、婦人の踊り、相撲、フラダンス、歌(替え歌)などの余興がありました。
島人は、ほんとに芸達者さんたちばかり!



そんな中でも、
薩川小中学校の子供たちの活躍が、この祭りを特に盛り上げていました。


オープニングは、『薩川太鼓』








『実久棒踊り』













かっこいい太鼓のリズムと伝統の棒踊り!
元気な子供たち、熱心な先生、父兄の方々が息を合わせて実演。
来年は、青年団の『棒踊り』の勇姿もみたいですね。





祭りの最後は、土俵を囲み、『八月踊り』





子供たちが、歌詞を一生懸命に歌っていました。頼もしい!
地域によって、中心になる年代が違うというのもまた面白いですね。




祭りの最後は、〆の六調。
シマの先生の指笛が響き渡り、会場は一気に盛り上がり、胸が高鳴りました!
子供たちの表情も緊張がとれて、とてもいい顔をしていました。





今回は、埋蔵文化財調査も兼ねて実久集落にお邪魔させていただきました。
この豊かな自然と美しいムラの風景がいつまでも続きますように。





参考文献
松原武実 2004 『奄美 加計呂麻島のノロ祭祀』




2014.10.02
加計呂麻島実久集落
埋蔵文化財調査員 正智子  


2014年03月16日

加計呂麻島・実久戦跡調査

平成25年12月13日。
加計呂麻島・実久集落にある戦跡行ってきました。

同行させていただいた方々は、
加計呂麻島でガイドをされている寺本さんや富岡さん、
そして実久集落、芝集落の区長さんたちでした。

今回の目的は
(1)戦跡・案内板の設置
(2)戦跡の位置および現状確認
(3)戦跡の記録(写真撮影)        でした。


+++



空は生憎、分厚い雲に覆われ、時折ポツポツと小雨も降っていました。

実久集落に到着すると、まずは今回の調査を担当される寺本さんと打ち合わせ。
000打ち合わせ
地図を見ながら経路や案内板の設置個所などを話し合い、行動計画を立てました。



集落から山へ向かう途中に【兵舎】が見えてきました。
001兵舎



案内板設置用の工具や道具をみんなで手分けして持ち、【軍用道路】を歩きます。
002軍用道路



ところどころ木が倒れていたり。
003軍用道路
歩くだけでも大変です。



【貯水所】
005貯水所



【山中防空壕】
006山中防空壕



【貯水槽】
007貯水槽



【井戸】
008井戸



【井戸周辺施設】
009井戸の周り



打ち合わせ通り、各ポイントに案内板を設置していきました。
009-1看板立て



戦跡の現状調査も並行して行いました。

実久集落・戦跡には2つの弾薬庫があります。
010弾薬庫1
こちらはそのひとつ。



弾薬庫の内部はこんな状況でした。
011弾薬庫1 内部



こちらはもう一つの弾薬庫。
013弾薬庫2 反対側入り口



【主陣地(砲台)】
014主陣地砲台



【砲台前広場】
015砲台前広場



【兵舎】
016兵舎



兵舎内部はこんな風。
017兵舎内部



【防空壕・切り通し】
018防空壕切通し(内部)
内部の状況です。



こちらは【防空壕・切り通し】の入口。
019防空壕切通し(入口)



【対岸監視用掩体】
020対岸監視用掩体



【個人掩体】
021個人掩体(タコツボ)
通称“タコツボ”だそうです。



【警戒陣地】
022警戒陣地(掩蔽部)入口
こちらは掩蔽部(えんぺいぶ)入口。



掩蔽部・内部の状況です。
よく見ると・・・
023警戒陣地(掩蔽部)内部



蝙蝠が!!
012弾薬庫1 内部 蝙蝠



次々と案内板を設置しながら、実久集落にある戦跡を確認することができました。
今回の現状調査で驚いたのは、
実久集落にも安脚場戦跡のように立派なコンクリート製の弾薬庫や兵舎、砲台跡などが残っていたということ。
また、その戦跡の種類の多さにも驚きました。

そして、実久集落の戦跡がこれからも残され、
その歴史的価値も後世に伝えられたら・・・と強く思いました。



帰る前に寺本さんが連れて行って下さった場所。
そこは実久湾と実久集落、さらに江仁屋離島、その先に見える西古見集落が眼前に広がる絶景でした。
025 海

026 海


メンバーのみなさん、本当にお疲れ様でした。
そして「シマの歴史に触れる」貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。



2014.3.10 
SBI