2014年09月08日
今年度の活動『埋蔵文化財調査』について
今年度、瀬戸内町立図書館・郷土館(埋蔵文化財)では、
国の補助事業を活用して、瀬戸内町内の埋蔵文化財調査を行います。
これまで、瀬戸内町で行われてきた調査では、町内約50の遺跡を確認しています。
しかしながら、瀬戸内町は大変広い地域のため、未だ調査されていない場所も多く存在します。
数年前から少しずつ、これまで発掘された遺跡の資料整理などを進めてきました。
瀬戸内町を代表する遺跡としては、
昭和49年8月に発掘調査された 『嘉徳遺跡』 があります。
約4,000年前の遺跡で、発掘調査によって石器や土器が数多く発見されました。
詳細は、
せとうちなんでも探検隊のHP『映像遺産』で紹介している嘉徳遺跡Webをご覧ください。
嘉徳遺跡は約40年前に発見された遺跡ですが、長らく専門職員がいなかったことや、
発掘された遺物が膨大な量であるため、数年前からようやく整理作業に取り掛かることができています。
嘉徳遺跡から出土した土器は “嘉徳式土器” と呼ばれ、縄文時代を代表する土器のひとつとなっています。
ゆっくりですが着実に、先人達が発見した大事な遺跡、遺物を分析・研究し、報告することで、
埋蔵文化財調査員一同、地域の宝を発信できれば・・・と考えています。
瀬戸内町には嘉徳遺跡だけではなく、“戦争遺跡” という遺跡もあります。
瀬戸内町・本島側では 「奄美大島要塞司令部跡」 や 「手安弾薬庫跡」
加計呂麻島では 「安脚場砲台跡」 や 「呑之浦震洋艇跡」 が有名です。
今回の分布調査では既存の戦争遺跡も含めた調査を実施します。
調査は瀬戸内町に残る戦争遺跡の “現存状態の把握" を目的として行います。
関連記事
与路島の戦跡
SBI講座「瀬戸内町の戦争遺跡について」
月日の経過により失われつつある、戦争遺跡。
その保存・管理など含めた安全管理について、今後考えていかなければなりません。
そのためにも、瀬戸内町の戦争遺跡の現存状態の把握が急務となっているのです。
その他にも、「各集落を歩いて、落ちている土器やお茶碗のかけらなどを集める」、という調査も行います。
集めた土器や茶碗のかけら(=遺物)から、その遺物が作られた年代を知ることができる場合があります。
遺物を分析することで、
どの集落のどの地区にどの時代の遺跡があるかもしれない???と予測することができるのです。
町内には、まだまだ知られていない遺跡が数多く残されています。
みなさんが住む集落や家、畑や河川の下など、
意外なほど身近な場所に “遺跡” は眠っているのです。
“埋蔵文化財” に少しでも関心を持っていただけると、“土地の歴史” を感じることができると思います。
この遺跡調査で、新たな発見があるかもしれません。
先日、ご紹介したヤコウガイの遺跡も見つかるかもしれませんね。
皆様からの情報をお待ちしています。
**********
さて、もう少し今回の事業内容を理解していただくために、
Q&Aをご紹介します。
Q1. 埋蔵文化財って?
A.土地に埋蔵されている文化財のことです。
構築されたもの(遺構【いこう】)、使っていた石器や土器(遺物【いぶつ】)、
こういったものが埋まっている土地を 『遺跡【いせき】』 と呼びます。
一般的に、 『遺構』 『遺物』 『遺跡』 を総称したものを、『埋蔵文化財』 と呼んでいます。
Q2. 近代化遺産って?
A.江戸時代末期から、明治、大正、昭和初期の間に、先人たちが海外の技術を取り入れ、創り上げてきた
建造物やシステムなどのことです。
上記の建造物やシステムは “国の近代化に貢献した貴重な資産” とされています。
Q3. 戦争遺跡って?
A.戦争にかかわる遺跡や、痕跡【こんせき】、軍事施設や坑道、防空壕、記念碑、また戦争で被災した建造物などを指し、 “戦跡” とも呼ばれています。
瀬戸内町には数多くの戦跡が残っています。
Q4. 分布調査は何に役立つの?
A.地域の方々に地域の歴史を知っていただくことができます。
また、埋蔵文化財は “文化財保護法” という法律によって守られています。
そのため、遺跡があるかもしれない土地を分布調査によって市町村が把握し、
埋蔵文化財が発見された場合の手続きがよりスムーズに行えるよう、
事業所や市町村民へ周知するためでもあります。
知らないうちに、その土地の歴史を知る手掛かりが無くなっている・・・という事態にならないためにも、
分布調査は必要なのです。
近年、開発事業が進んでいます。知られていない遺跡などが壊れていく可能性もあります。
町としては、これらを把握する必要があるのです。
Q5. どんなふうに調査するの?
A.おもに集落を散策しながら、地面に落ちている土器や茶碗のかけら等(=遺物)を、
表採【ひょうさい】(表面採集)します。
そして遺物を拾った地点や周辺環境を記録します。
*実際の調査が始まりましたら、また改めて調査内容等についてご紹介していく予定です。
Q6. 埋蔵文化財と自然の関係は?
A.『奄美大島の昔の暮らし』を考えていく時に、
その土地の自然環境・海洋環境を知ることが重要になってきます。
先人たちは、日々の暮らしの中で、“自然にあるもの” を利用してきました。
遺物の中には、土器や石器など、人が作ったものの他に、
骨や貝、木の実など自然のものも多くあります。
現在の自然環境・海洋環境を知ることは、『昔の暮らし』を考える上で
とても大切なことなのです。
Q7. 昔のものと思われる器のカケラが近くに落ちているけれど、
どうすればいいの?
A.できるだけそのままの状態にしてください。
触ってしまったら、元の場所に戻しましょう。
その他にも疑問・質問などありましたら、メール等お寄せください。
**********
いよいよ今週から現地調査を開始します。
各地域の情報などがありましたら、メールにてご連絡いただけましたら嬉しいです。
(左欄の『メッセージを送る』から送ることができますよ。)
今年度の活動記録は、「ヒギャジマンブログ」や「せとうちなんでも探検隊HP」にて紹介していく予定ですので、
どうぞよろしくお願いいたします。
2014.9.4
瀬戸内町立図書館・郷土館
埋蔵文化財調査員一同
国の補助事業を活用して、瀬戸内町内の埋蔵文化財調査を行います。
これまで、瀬戸内町で行われてきた調査では、町内約50の遺跡を確認しています。
しかしながら、瀬戸内町は大変広い地域のため、未だ調査されていない場所も多く存在します。
数年前から少しずつ、これまで発掘された遺跡の資料整理などを進めてきました。
瀬戸内町を代表する遺跡としては、
昭和49年8月に発掘調査された 『嘉徳遺跡』 があります。
約4,000年前の遺跡で、発掘調査によって石器や土器が数多く発見されました。
詳細は、
せとうちなんでも探検隊のHP『映像遺産』で紹介している嘉徳遺跡Webをご覧ください。
嘉徳遺跡は約40年前に発見された遺跡ですが、長らく専門職員がいなかったことや、
発掘された遺物が膨大な量であるため、数年前からようやく整理作業に取り掛かることができています。
嘉徳遺跡から出土した土器は “嘉徳式土器” と呼ばれ、縄文時代を代表する土器のひとつとなっています。
ゆっくりですが着実に、先人達が発見した大事な遺跡、遺物を分析・研究し、報告することで、
埋蔵文化財調査員一同、地域の宝を発信できれば・・・と考えています。
瀬戸内町には嘉徳遺跡だけではなく、“戦争遺跡” という遺跡もあります。
瀬戸内町・本島側では 「奄美大島要塞司令部跡」 や 「手安弾薬庫跡」
加計呂麻島では 「安脚場砲台跡」 や 「呑之浦震洋艇跡」 が有名です。
今回の分布調査では既存の戦争遺跡も含めた調査を実施します。
調査は瀬戸内町に残る戦争遺跡の “現存状態の把握" を目的として行います。
関連記事
与路島の戦跡
SBI講座「瀬戸内町の戦争遺跡について」
月日の経過により失われつつある、戦争遺跡。
その保存・管理など含めた安全管理について、今後考えていかなければなりません。
そのためにも、瀬戸内町の戦争遺跡の現存状態の把握が急務となっているのです。
その他にも、「各集落を歩いて、落ちている土器やお茶碗のかけらなどを集める」、という調査も行います。
集めた土器や茶碗のかけら(=遺物)から、その遺物が作られた年代を知ることができる場合があります。
遺物を分析することで、
どの集落のどの地区にどの時代の遺跡があるかもしれない???と予測することができるのです。
町内には、まだまだ知られていない遺跡が数多く残されています。
みなさんが住む集落や家、畑や河川の下など、
意外なほど身近な場所に “遺跡” は眠っているのです。
“埋蔵文化財” に少しでも関心を持っていただけると、“土地の歴史” を感じることができると思います。
この遺跡調査で、新たな発見があるかもしれません。
先日、ご紹介したヤコウガイの遺跡も見つかるかもしれませんね。
皆様からの情報をお待ちしています。
**********
さて、もう少し今回の事業内容を理解していただくために、
Q&Aをご紹介します。
Q1. 埋蔵文化財って?
A.土地に埋蔵されている文化財のことです。
構築されたもの(遺構【いこう】)、使っていた石器や土器(遺物【いぶつ】)、
こういったものが埋まっている土地を 『遺跡【いせき】』 と呼びます。
一般的に、 『遺構』 『遺物』 『遺跡』 を総称したものを、『埋蔵文化財』 と呼んでいます。
Q2. 近代化遺産って?
A.江戸時代末期から、明治、大正、昭和初期の間に、先人たちが海外の技術を取り入れ、創り上げてきた
建造物やシステムなどのことです。
上記の建造物やシステムは “国の近代化に貢献した貴重な資産” とされています。
Q3. 戦争遺跡って?
A.戦争にかかわる遺跡や、痕跡【こんせき】、軍事施設や坑道、防空壕、記念碑、また戦争で被災した建造物などを指し、 “戦跡” とも呼ばれています。
瀬戸内町には数多くの戦跡が残っています。
Q4. 分布調査は何に役立つの?
A.地域の方々に地域の歴史を知っていただくことができます。
また、埋蔵文化財は “文化財保護法” という法律によって守られています。
そのため、遺跡があるかもしれない土地を分布調査によって市町村が把握し、
埋蔵文化財が発見された場合の手続きがよりスムーズに行えるよう、
事業所や市町村民へ周知するためでもあります。
知らないうちに、その土地の歴史を知る手掛かりが無くなっている・・・という事態にならないためにも、
分布調査は必要なのです。
近年、開発事業が進んでいます。知られていない遺跡などが壊れていく可能性もあります。
町としては、これらを把握する必要があるのです。
Q5. どんなふうに調査するの?
A.おもに集落を散策しながら、地面に落ちている土器や茶碗のかけら等(=遺物)を、
表採【ひょうさい】(表面採集)します。
そして遺物を拾った地点や周辺環境を記録します。
*実際の調査が始まりましたら、また改めて調査内容等についてご紹介していく予定です。
Q6. 埋蔵文化財と自然の関係は?
A.『奄美大島の昔の暮らし』を考えていく時に、
その土地の自然環境・海洋環境を知ることが重要になってきます。
先人たちは、日々の暮らしの中で、“自然にあるもの” を利用してきました。
遺物の中には、土器や石器など、人が作ったものの他に、
骨や貝、木の実など自然のものも多くあります。
現在の自然環境・海洋環境を知ることは、『昔の暮らし』を考える上で
とても大切なことなのです。
Q7. 昔のものと思われる器のカケラが近くに落ちているけれど、
どうすればいいの?
A.できるだけそのままの状態にしてください。
触ってしまったら、元の場所に戻しましょう。
その他にも疑問・質問などありましたら、メール等お寄せください。
**********
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各地域の情報などがありましたら、メールにてご連絡いただけましたら嬉しいです。
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